「最近、集中力途切れ途切れなんだけど、何か元気の出る本を読みたい」
そんな時に、とっておきの本がある。特に滋賀県出身の方は、今すぐ読んでほしい。
舞台は、西武大津店の取り壊しが決まった夏、滋賀県大津市から始まる。
主人公は、中学生の成瀬あかり。物語は、この成瀬を中心に起こる出来事のお話である。
社会人になってから、中高生向けの小説に触れる機会は一気に減った。もうだいぶ遠い世界の話となってしまったからだ。(遠い目)
しかし、この本はそんな人にこそ手に取って欲しい。
「成瀬は天下を取りに行く」の出版当初、私は読書の際、目が文字を上滑りする感覚が絶えず、なぜか集中力が最弱で、読書が大好きなのにも関わらず積読が続く日々を過ごしていた。
「すぐ没頭できて、何か読み心地が良いものを・・・」と近所の本屋をゾンビの如く徘徊していたら、大好きな辻村深月先生や三浦しおん先生の推薦文が、目に飛び込んできた。
自分が人生のどこかで別れてきた「どこか」「何か」が共鳴する、いとおしい青春小説。
(辻村深月)
青春は琵琶湖の形をしている。真円ではないが広々として楽しく、切ないほどにきらめいているのだ。
(三浦しおん)
https://www.shinchosha.co.jp/special/naruten/
基本的に好きな人の好きなものは「まずは知ってみる」精神なので早速手に取り、パラパラと立ち読みを始めた。一気に引き込まれた。ベリベリと張り付く「続きを読みたい欲求」を何とか剥がして、帰宅後Kindleで購入。
実は私には、この本に惹かれた必然的な背景があった。
一つは、会社の先輩・後輩に滋賀県出身者がいたこと。朗らかな人々で、しかも彼らは膳所高校出身だ。膳所(ぜぜ)は本書の舞台でもある。一度、彼らの「滋賀県飲み会」に招待され、唯一の大阪出身者として丁重に滋賀県について教えていただいた。正直、飲み会の記憶なので朧げではあるが、琵琶湖を北と南に分けた言い方「北湖(ほっこ)、南湖(なんこ)」というキーワードは頭に残っている。(大阪出身者としては、滋賀のイメージは琵琶湖のみ。「近畿の水瓶」と認識していたが、飲み会で薫陶を受けた際、滋賀県民の琵琶湖に対する愛情と初等教育からの琵琶湖学習について知り、改めて琵琶湖の滋賀県民に対する影響力と偉大さを知ったのだった。)
二つ目は、大親友が琵琶湖の白髭神社でプロポーズを受けたことにある。同じく大阪出身の彼女ではあるが、彼からのプロポーズ後、一気に滋賀県への好感度が爆上がりしているのは側から見ても感じられる。滋賀の良いところを幸せエピソードと共に折りに触れて聞いていると、滋賀には好印象しかない。
そういうわけで、好感度が最高潮の時に滋賀県エピソードをてんこ盛りに詰め込んだ「成瀬は天下を取りに行く」、是非、初夏のお供に読んでいただきたい。出版社ページでは、第1話「ありがとう、西武大津店」を無料で読める。しかし、私が特に好きなのは第2話の「膳所から来ました」なので、購入して読んで欲しい。主人公がM-1に出ようとする話だ。関西出身者は尚のこと、読むべし。
コメント
コメント一覧 (1件)
興味をそそられたので、読んでみようと思います!最近、四国に行きたい欲が沸き上がっているのですが、これを読んだらきっと滋賀行きに変更になるでしょうね笑
晴れ渡った青空の中この本を片手に旅に出たいものです。
旅行も本も大好きなので、今後も記事楽しみにしております。