読了後、その足で美術館へ向かったのは後にも先にもこの本だけ。
本作を読むと、国立西洋美術館の松方コレクションを見ずにはいられない。大学生の時にも、国立西洋美術館には訪れていたのだが、さらさら〜としか見ておらず、むしろ館外の地獄の門の方が印象的だった。(今も、宵時の地獄の門が好きだ。)
本作ではタイトルの通り、美しき愚かものたちが登場するが、それは国立西洋美術館の設立に奔走した松方幸次郎や、モネ、ゴッホ達を含むタブロー(絵画)に携わる人々のことを指す。
今、上野に当たり前のようにある美術品のコレクションの背景に「こんなドラマがあっただなんて・・・!」と感嘆し、「松方コレクション」のラベルが付けられている絵画を見つけては、松方氏に思いを馳せた。
何より、モネの睡蓮に関しては、本作を読んでから最後の展示室にある《睡蓮ー柳の反映》を見ると、非常に感慨深いものがある。詳細は以下の記事を参照されたいが、掻い摘んで言うと2016年に松方コレクションに入っていたが紛失されていたと睡蓮がルーブルで見つかったのだ。その後、2019年から展示されるようになっている。現代においても、美しき愚かもの達のドラマは続いていたのだ・・・!
《睡蓮ー柳の反映》の鑑賞中は、「良かったねぇ、良かったねぇ」と涙ながらに心の中で語りかけつつ、絵を凝視したのだった。
モネ幻の作品が60年ぶりに発見。松方コレクションとして国立西洋美術館で修復、展示へ
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